治療家として仕事をしていると、さまざまな治療技術やセミナーを目にすると思います。
「この技術なら短時間で変化が出る」
「多くの患者さんに対応できる」
「これを覚えれば治療の幅が広がる」
魅力的な技術はたくさんあります。
私自身もこれまでさまざまな治療を学んできましたし、現在も一つの治療技術を継続して学んでいます。
ただ、普段この「治療家の経営研究室」では、治療技術について詳しく話すことはあまりありません。
今回は「どの治療法が優れているか」という話ではなく、私自身が治療技術やセミナーを選ぶときに何を基準にしているのかについてお話しします。
私が特に大切にしているのは、次の2つです。
1.講師自身が、その技術を実際の臨床で使っているか
2.決まった基準で評価できる検査方法があるか
この2つです。
1.その先生は、本当にその治療技術を使っているのか?
一つ目は非常にシンプルです。
その技術を教えている先生自身が、普段の患者さんの施術でも本当にその技術を使っているか。
当たり前のことのように感じるかもしれません。
しかし、私自身いろいろなセミナーへ参加してきて、これは意外と重要なポイントだと感じています。
以前、私が中心に使っていた操体法
以前、私は操体法を中心に施術をしていた時期がありました。
勤務していた頃から使っていましたし、開業当初も取り入れていました。
操体法そのものが悪いと思っているわけではありません。
実際に変化が出ることもありますし、今使っていないからといって、その技術を否定するつもりもありません。
ただ、当時参加したセミナーで印象に残っている出来事があります。
セミナーのデモンストレーションで変化が出なかった
そのセミナーで、講師の先生が参加者を相手にデモンストレーションを行いました。
「こういうケースでは、この方法を使うといい」という説明をしながら実際に施術をされたのですが、そのときは思うようなビフォーアフターが出ませんでした。
もちろん、それだけで技術そのものが悪いとは判断できません。
受け手との相性もありますし、その一回だけで技術の良し悪しを決めることもできません。
私自身、そのときに何が原因だったのかまでは分かりませんでした。
ただ、その後の対応が印象に残りました。
最終的に、その先生は別の方法で筋肉を緩めたり、可動域を出したりして変化を作っていたんです。
それを見たとき、
「普段の臨床では、本当に今教えている方法を中心に使っているのかな?」
という疑問を持ちました。
セミナーで教えている技術と、実際の臨床で使っている技術。
ここに大きな違いがあるのであれば、私は一度立ち止まって考えた方がいいと思っています。
本当に知りたいなら、その先生の治療を受けてみる
現在、私が継続して参加している治療技術のセミナーがあります。
そこでは、講師の先生自身が普段からその技術を使っています。
私自身も実際に施術を受けたことがあります。
肩に強い痛みがあったときに施術をしてもらい、自分自身で変化を体感したこともあります。
もちろん、私自身の一例だけですべてを判断することはできません。
それでも、
教えていることと、実際の臨床でやっていることが一致している。
これは、私が技術を学ぶうえで非常に大切にしていることです。
気になる技術セミナーがあるなら、セミナーへ参加するだけではなく、可能であれば実際にその先生の施術を受けてみてもいいと思います。
あるいは見学できるのであれば、実際の臨床を見せてもらう。
そうすると、セミナーで教えていることが本当に現場で使われているのかが分かります。
2.ビフォーアフターではなく「評価」ができるか
もう一つ、私が大切にしているのが検査です。
治療ではビフォーアフターを確認することがあります。
施術前より腕が上がった。
身体をひねりやすくなった。
前屈しやすくなった。
こうした変化を患者さんと共有すること自体は悪いことではありません。
私自身も使います。
ただし、
「変化が出た=良い治療」
と単純に考えるのは少し違うと思っています。
例えば、筋肉をほぐしたり、関節を動かしたりするだけでも、その場で可動域が変わることはあります。
重要なのは、
何をする前に、何を確認したのか。
施術後に同じ基準でどう変わったのか。
そして、その変化が患者さんの症状とどう関係しているのか。
ここです。
ビフォーアフターは「すごいでしょ」と見せるためだけではない
ビフォーアフターには、患者さんに変化を感じてもらうという役割もあります。
しかし治療する側にとっては、それ以上に評価としての役割が重要です。
「こういう症状がある」
↓
「この検査ではこういう状態だった」
↓
「この施術を行った」
↓
「同じ検査をすると、このように変化した」
↓
「その後、患者さんの症状がどう変わっていったか」
この流れが積み重なっていくことで、自分の中に臨床の基準ができます。
そうすると、
「このタイプの患者さんなら、こういう経過をたどることが多い」
という見通しも少しずつ持てるようになります。
もちろん、「絶対に○回で治ります」という話ではありません。
患者さんによって状態は違います。
ただ、きちんと評価を積み重ねていけば、ある程度の筋道を立てて施術を考えられるようになります。
私は、このためにビフォーアフターを見ることが大切だと考えています。
「見せるための変化」と「治療を評価するための変化」は違う
患者さんから信頼してもらうために、その場で変化を確認することもあります。
それ自体を否定するつもりはありません。
ただ、
患者さんに「すごい」と思ってもらうためだけのビフォーアフターなのか。
それとも、
治療方針を決めるための評価として行っているビフォーアフターなのか。
ここは分けて考えた方がいいと思います。
技術セミナーを見るときにも、この視点を持っておくと判断しやすくなります。
講師がデモンストレーションで変化を出したときに、「すごい変化が出た」だけを見るのではなく、
なぜその検査をしたのか?
なぜその施術を選んだのか?
施術後に何を評価しているのか?
まで見る。
そうすると、その技術を自分が本当に学ぶべきなのかも判断しやすくなると思います。
いろいろな技術を学んだ後は、一つを突き詰める
いろいろな治療法を知ることは大切です。
私自身もこれまでさまざまなものを学んできました。
知識や選択肢を増やす時期があってもいいと思います。
ただ、
「自分はこれでいく」
と決めたのであれば、一つのことをある程度突き詰める時間も必要だと考えています。
現在、私が継続して学んでいる技術も、それまで自分が行ってきた施術とはかなり違います。
ベッドの上だけではなく、床で行うことも多い施術です。
私自身にとって新しいことも多く、まだ学んでいる途中です。
それでも、できる限り継続して学び、考えなくてもできるくらいまで身につけたいと思っています。
技術セミナーを何個受講したかではなく、
一つの技術をどこまで自分のものにできたか。
こちらの方が大切ではないでしょうか。
個人の治療院だからこそ、技術力は大切だと思う
現在の治療院業界を見ていると、多店舗展開する大きな治療院と、一人または少人数で運営する治療院に分かれてきているように感じます。
大きな組織では、多くのスタッフが一定水準の施術を提供できるように、技術を標準化する必要があります。
一方で、一人治療院や少人数の治療院が、まったく同じ戦い方をする必要はありません。
大手には、広告やマーケティング、スタッフ数など、個人院では簡単に真似できない強みがあります。
だからこそ、小さな治療院には別の強みが必要です。
その一つが、私は技術力だと思っています。
個人院であれば、毎月何十人、何百人という新規患者さんが必要なわけではありません。
来てくださった一人ひとりの患者さんにきちんと向き合い、技術を磨き、結果につなげていく。
これは、小さな治療院だからこそできることでもあります。
マーケティングだけでも、技術だけでもない
この「治療家の経営研究室」では、
- 新規集客
- リピート
- 治療技術
- 利益
- 投資
という5つの分野についてお話ししています。
そのため、マーケティングや経営についてお話しすることも多いです。
もちろん、それらは大切です。
どれだけ技術があっても、患者さんに存在を知ってもらえなければ来院にはつながりません。
一方で、マーケティングだけが上手くても、実際に来院された患者さんに、
「ここに来てよかった」
と思ってもらえなければ意味がありません。
技術か経営か。
どちらか一方を選ぶ話ではないと思っています。
治療家として技術を磨きながら、きちんと利益を残し、治療に集中できる経営環境を作る。
その両方が必要です。
まとめ|技術セミナーを選ぶ前に確認してほしいこと
私が治療技術を学ぶ際に大切にしている基準は、大きく2つです。
1.教えている先生自身が、その技術を実際の臨床で使っているか。
2.その場の変化を見せるだけではなく、治療を評価するための明確な検査基準があるか。
有名な先生だから。
たくさんの人が受講しているから。
短時間で変化が出るから。
それだけで決めるのではなく、
「この先生から、この技術を本当に学びたいか」
を一度考えてみてください。
そして、これだと思えるものが見つかったら、いろいろなものへ次々と移るのではなく、一つの技術をしっかり突き詰めてみる。
私自身もまだ学んでいる途中です。
これから技術セミナーを選ぶ先生にとって、今回の話が一つの判断材料になればと思います。
治療院経営を5つの項目から確認できます
治療技術を高めることはもちろん大切です。
ただ、治療院を長く続けていくためには、技術だけではなく、新規集客・リピート・利益・投資など、経営全体を整えていく必要があります。
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